
自分にとっての宝物、それはこの写真です。
スノーボードを初めての間もない1995年ごろ、自分はISFの大会をビデオで毎日飽きもせず観ていました。 そこに登場するニコラ コンテ、マーティン フライナダメッツ、ディーター ハップなどのスーパースターは異次元の滑りで、自分をカービングの世界の虜にさせました。そんなメンバーの中でもシギー グラブナーは特別な存在で光り輝いていました。 彼の滑りはスムースで力強くそして速い、まさにパーフェクトなライディングで彼のパートを擦り切れるほど観ていたのを思い出します。
特別な時間は突然やって来ました。2009年の春、SGのプロモーションとインストーラーの撮影でヨーロッパに7日間シューティングに行くことになったのです。この写真はその時の一コマです。(シギー、杉本さん、自分) シギーとは日本とニュージーランドで何回か面識はありましたが、まさか自分がシギー グラブナーと7日間も一緒に過ごすとは夢にも思いませんでした。
1本1本のライディングに釘付けとなり、ため息のでるようなライディングはやはり凄かった!! 彼のライディングはもちろん、その音が鮮明に記憶に残っています。あるゲレンデでの撮影、だれもいないスロープにカービングの音が響きます。シギーのカービング音は明らかに他の音とは違いました。時には滑らかであり、時には力強く、リズムもとても心地よい音でした。静寂の中のカービング音、シギーが見えない時でさえ、滑りを想像させるのに十分なものでした。 撮影の最中、疲れも溜まってきているはずなのに、笑顔は絶えることはありませんでした。 20年以上のキャリアがある彼が、純粋に「スノーボードを楽しんでいる」という姿にとても新鮮なものを感じました。
そしてこの撮影には若手のSGライダー達も参加していました。シギーを慕う若手のライダー達、シギーの人望の厚さが垣間みられました。若手ライダーのライディング、滑りやセッティングに対する貪欲な行動(シギーに質問ばかり)は見習うべきところがありとても勉強になりました。(のちに彼らはソチオリンピックで大活躍します)
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この撮影を通じてシギーのライディングもちろんのこと人間的魅力を強く感じ、ますますシギー グラブナーのファンになりました。彼は昨シーズンで選手としての活動にはピリオドを打ちましたが、まだまだその存在感は絶大です。彼との再開を目指し、またヨーロッパへ行くことを目標にライディングしていこうと思います。
シギーの自宅にてワールドカップのオーバーオールのチャンピオントロフィー。
シギーの生家にてご家族と。この家、側道に入ってから20分くらい山道を登ります。
お別れの時、シギーさんから頂いたサイン入り「自伝 シギーグラブナー」これも宝物です。 |